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本年1月27日に大阪の国際会議場で行われた第24回日本眼科手術学会総会のナーシングプログラムで、「21世紀眼科医療におけるナースのリスクマネージメント」というメインテーマで行われたシンポジウムにおいて、招待講演として本院看護部長の高山が行った講演内容を紹介いたします。「医療ミスを防ぐ為のフェイル・セイフ・システム」は、本院において1984年より今日まで既に16年間実行しているシステムです。このシステムは、院内で誰かがミスをしたら誰かがそれを発見し、患者さんに具体的な事故を生じる前に防ぐというものです。それでは、講演の内容をもう少し詳しく説明しましょう。
システムの基本概念: 3つあります
(1) 人は一定の確率で間違いを犯す存在である。そして、自分も例外ではないということを受け入れる、これが危機管理の第一歩となる。
(2) 大きな事故は、ある日、ある人によって偶然に生じたのだとは考えずに、それまでに見逃された小さなミスが何百回も重なった結果、目に見える医療事故が生じるという考え方を受け入れる。
(3) 平凡な人間同士が集まり、日々努力をして、最終的には非凡な組織を作ることを目標とする。
サブシステム: フェイル・セイフ・システムを維持するには、その土台となるシステムが必要
(1) まずは接遇をマスターさせることから始める。職員間での挨拶や患者さんに対しての敬語を徹底させる。その他、職員の身なりと院内の掃除にも気をつかう。
(2) 自分の受けたオーダーが正しいかどうか判断するためには、医学的知識が必要となる。一定の基準に達する知識を身につけてもらうために、毎年院内において講義とテストを行っている。
(3) ミス防止において正確な情報伝達は重要であるため、大きな声ではっきり、ゆっくり話す訓練をする。また指示を受けた場合は、必ず復唱し、受けた指示の内容が正しいことを確認する。
(4) 記録をする場合は、誰が見ても分かる字、読みやすい字を書くことを心がける。
(5) 診療中に生じたミスは実害のないものでも、発見された時点でトラブル報告書と呼んでいる用紙に記入して提出させ、今後どうすれば防げるかを検討する。また、ミスを未然に発見した行為も報告する。
(6) 分かりやすく実践に沿ったマニュアルを作成する。また、マニュアル通りに実行されているか、監視を怠らない。マニュアルは時代に応じて絶えず書き替える。
(7) 各職種の専門化が進むと、専門意識が高まり、無意識のうちに自分たちの周りに高いバリアーを作り、他の配置の人が踏み込めない聖域ができる。また、各配置との接点が少なければ、ミスが生じる可能性が高くなる。それを防ぐために、各職種、各配置間でオーバーラップして仕事をするローテーションシステムをここ25年間採用し、組織内の壁を取り払うようにしている(機能面でのバリアフリー化)。
(8) フェイル・セイフ・システムを運用するためには、医師の協力が必要不可欠である。偉ぶらない医師の必要性。
以上のように、一つのシステムを作り維持していくには、原理と実践の両面が必要です。まず原理が必要ですが、その原理を実行するのは平凡な人間です。多くの平凡な人間が集まり、医療ミスのない組織を作り上げるためには、まずお互いが平凡な人間であることを受け入れ、目的意識を持って、実践の面で多くのステップを一つ一つクリアーしていく努力をしなければなりません。このように、医療事故のない病院作りを目指し、患者さんが安心して受診できるよう、この16年間日々努力をしております。外から見ればいろいろご不満もあると思いますが、私たちもそれなりに努力していることをご理解いただければ幸いです。
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